銀座の総合レストランSun-mi高松
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2026.01.15
銀座の個室で新春を祝う福会席 〜一皿に込められた幸福の物語〜




新春を祝う福会席 〜一皿に込められた幸福の物語〜
はじめに
新しい年の訪れとともに、日本人は古来より食を通じて幸福を願い、繁栄を祈ってきました。会席料理の一皿一皿には、単なる美味しさを超えた深い意味が込められています。それは先人たちの知恵であり、季節への畏敬であり、そして何より「食べる人の幸せを願う心」そのものです。
この福会席は、まさにそうした日本の食文化の結晶。一年のスタートをより華やかに、より幸福に迎えるために丁寧に組み立てられた献立は、目で愛で、舌で味わい、心で感じる至福の時間を約束します。
先付 蒸し鮑黄金和え ―海の宝石に祈る長寿―
会席の幕開けを飾るのは、つややかに輝く蒸し鮑の黄金和えです。鮑は古来より「長寿の象徴」として珍重されてきました。その理由は、鮑が長命であることに加え、その身が「のし鮑」として祝儀に用いられてきた歴史にあります。
蒸すことでふっくらと柔らかくなった鮑は、噛むほどに磯の香りが口いっぱいに広がります。その身を包む黄金色の衣は、卵黄や雲丹を使った贅沢な和え衣。まるで海底に沈む黄金のように艶やかで、新春の陽光を思わせる輝きです。
鮑のコリコリとした食感と、滑らかでコクのある黄金和えの衣が絡み合う瞬間、新年への期待が高まります。この一品には「健やかに長く、豊かに生きる」という願いが込められているのです。
前菜 和会席の前菜+唐墨 ―海の宝石箱―
色とりどりに盛り付けられた前菜の数々。その中でも特別な輝きを放つのが、琥珀色に透き通る唐墨です。ボラの卵巣を塩漬けにし、天日で丁寧に乾燥させたこの珍味は、「日本三大珍味」の一つとして知られ、古くから祝いの席に欠かせない一品でした。
唐墨の歴史は古く、江戸時代には長崎から献上品として将軍家に届けられていたといいます。その製法は今も昔も変わらず、職人の手によって一つ一つ丁寧に作られています。薄く切った唐墨は、光にかざすとほのかに透けて見えるほど繊細。口に含むと、濃厚な旨味がゆっくりと溶け出し、海の恵みの深さを実感させてくれます。
前菜の彩りは、まさに新春の喜びそのもの。紅白の蒲鉾、つややかな黒豆、鮮やかな海老、そして金色に輝く栗きんとん。それぞれに「めでたさ」「健康」「長寿」「金運」といった意味が込められ、見ているだけで心が華やぎます。
御椀 白味噌仕立て 焼雲子 梅人参 芽蕪 辛子 ―春を告げる椀物―
湯気とともに立ち上る優しい香り。白味噌の椀物は、京都の雑煮にも通じる新春の味わいです。白味噌のまろやかな甘みは、西京味噌ならではの上品さ。丁寧に裏ごしされた味噌は、絹のように滑らかで口当たりが柔らかく、体の芯からほっと温まります。
椀の中で存在感を放つのが、香ばしく焼き上げられた雲子(たらの白子)です。表面はこんがりと焼き色がつき、中はふわりと柔らか。スプーンで崩すと、とろりとした食感が白味噌の出汁と溶け合い、海の旨味と大地の甘みが一体となります。
梅型に抜かれた人参の紅色は、まさに新春の彩り。芽蕪の瑞々しい緑は、これから訪れる春の息吹を感じさせます。そして辛子が味を引き締め、全体に奥行きを与えます。この一椀は、冬の終わりと春の始まりが交差する、季節の移ろいそのものなのです。
造里 旬魚三種盛り 芽物一式 ―海の幸の競演―
日本料理の真髄ともいえる刺身。会席料理において造里は、素材の良し悪しが最も如実に表れる一品です。福会席では、その時々の旬を迎えた魚を三種選び抜き、それぞれの個性を最大限に引き出す切り方で盛り付けます。
冬から春にかけての海は、魚たちが最も脂を蓄える時期。寒鰤のとろけるような脂の乗り、真鯛の透明感のある白身の甘み、そして旬を迎えた魚の力強い旨味。一切れ一切れが、日本の海の豊かさを物語ります。
刺身を引き立てるのが、瑞々しい芽物たち。穂紫蘇、芽葱、大葉、花穂などが添えられ、視覚的な美しさだけでなく、清涼感のある香りが魚の脂を爽やかに洗い流してくれます。山葵のつんとした香りと相まって、口の中が清められ、次の一品への期待が高まります。
焼物 黒毛和牛フィレステーキ 焼野菜 ―大地の恵み―
会席料理の中盤に登場する焼物は、料理の流れに変化をもたらす重要な位置づけです。ここで供されるのは、きめ細かな霜降りが美しい黒毛和牛のフィレステーキ。日本が世界に誇る和牛の中でも、最も柔らかく上品な部位を使用しています。
表面は香ばしく焼き上げられ、中はほんのりとピンク色。ナイフを入れた瞬間、肉汁がじんわりと溢れ出します。口に含むと、繊維がほどけるように柔らかく、和牛特有の甘みと旨味が舌の上で溶けていきます。この「とろける」という表現は、まさに黒毛和牛のためにあるような言葉です。
添えられた焼野菜も主役級の美味しさ。椎茸、蓮根、南瓜、アスパラガスなど、それぞれが炭火でじっくりと焼かれることで、素材本来の甘みが凝縮されています。野菜の水分が程よく飛び、表面はカリッと香ばしく、中はしっとりと甘い。肉の力強さと野菜の優しさが、皿の上で見事な調和を奏でます。
温物 金目鯛蕪蒸し 山葵 銀餡 ―冬の温もり―
湯気がふわりと立ち上る蕪蒸しは、冬の会席料理を代表する一品です。すりおろした蕪に卵白を合わせて蒸し上げる技法は、江戸時代から続く伝統的な調理法。ふわふわと軽やかな食感は、まるで雪のようです。
その雪の下に隠れているのが、紅色が美しい金目鯛。金目鯛は、その名の通り「金運」「目出度い」という縁起の良さから、祝いの席に好まれてきました。ふっくらと蒸された身は、箸で触れただけでほろりと崩れるほど柔らか。白身魚特有の上品な甘みが、蕪の優しい風味と溶け合います。
表面を覆う銀餡は、出汁の旨味が凝縮された透明感のある餡。とろりとした餡が蕪蒸しと金目鯛を包み込み、全体を一つにまとめ上げます。山葵のピリッとした刺激が、優しい味わいに心地よいアクセントを添えます。
この一品を口にする時、体の内側から温まる心地よさを感じるでしょう。それは単なる温度だけでなく、丁寧に作られた料理が持つ「温もり」そのものなのです。
強肴 とらふぐ唐揚げ ししとう 酢橘 ―冬の王者―
「ふぐは食いたし命は惜しし」という言葉が示すように、ふぐは古来より日本人を魅了し続けてきました。中でも、とらふぐは「ふぐの王様」として最高級に位置づけられています。その白く透明感のある身は、淡白でありながら深い旨味を持ち、食感はぷりぷりとして弾力があります。
唐揚げという調理法は、ふぐの持つ旨味を閉じ込め、外はカリッと香ばしく、中はジューシーに仕上げる技法です。衣は薄く繊細で、噛んだ瞬間にパリッと音を立て、次の瞬間にはふぐの身のもっちりとした食感が訪れます。
添えられたししとうは、素揚げにすることで甘みが増し、ほんのりとした苦みがふぐの淡白さを引き立てます。酢橘を搾ると、爽やかな香りと酸味が唐揚げの油っぽさを洗い流し、何個でも食べられそうな軽やかさに変わります。
ふぐは「福」に通じることから、縁起物としても重宝されてきました。新春にふぐを食すことは、一年の幸福を願う日本人の粋な心意気なのです。
止肴 赤海鼠酢 ―海の珍味―
赤海鼠(あかなまこ)は、冬の海が育む珍味中の珍味。コリコリとした独特の食感と、磯の香りが凝縮された味わいは、通をうならせる逸品です。
三杯酢で和えられた海鼠は、酸味が海の風味を引き立て、口の中をさっぱりとさせてくれます。会席料理の流れの中で、この止肴は次に続く食事への「箸休め」の役割を果たします。海鼠のコリコリとした食感は、噛むほどに磯の旨味が広がり、日本酒との相性も抜群です。
海鼠もまた、その形状から「長寿」を象徴する縁起物とされてきました。海底でゆっくりと育つ海鼠は、時の流れとともに成長し、長い年月を生きる生き物。その海鼠を食すことで、長く健やかな人生を願うのです。
食事 蟹御飯 香物 止椀 ―海の王様の饗宴―
会席料理のクライマックスを飾るのが、ふっくらと炊き上げられた蟹御飯です。蓋を開けた瞬間に立ち上る湯気とともに、蟹の甘い香りが広がります。
一粒一粒が立った米の間に、ほぐされた蟹の身が贅沢に散りばめられています。蟹の旨味が染み込んだ米は、噛むごとに甘みと旨味が口の中に広がり、思わず笑みがこぼれます。紅色の蟹の身は、見た目にも華やか。白い米との対比が美しく、まさに新春にふさわしい一品です。
蟹は脱皮を繰り返して成長することから、「再生」「成長」の象徴とされてきました。新しい年の始まりに、脱皮して新しい自分に生まれ変わる。そんな願いが、この蟹御飯には込められています。
添えられた香物は、発酵の旨味が凝縮された伝統の味。大根、蕪、胡瓜などの漬物が、蟹御飯の甘みを引き立て、口の中をリセットしてくれます。
止椀は、出汁の旨味がじんわりと染みる赤出汁。豆腐や葱が浮かぶシンプルな椀物ですが、その奥深い味わいが食事を締めくくります。
水菓子 せとか 苺 ―春の息吹―
食事の後の口直しに供されるのが、瑞々しい果物です。せとかは、柑橘類の中でも特に糖度が高く、「柑橘の大トロ」とも称される高級品。薄い皮の中には、プチプチとした粒が詰まっており、口に含むと果汁が弾けます。
そして、真っ赤に輝く苺。冬から春にかけて旬を迎える苺は、その鮮やかな紅色と甘酸っぱい味わいで、心まで明るくしてくれます。一粒一粒が宝石のように美しく、艶やかな表面は、丁寧に育てられた証です。
果物は、自然の恵みそのもの。人の手で作られた料理の数々の後に、大地と太陽が育てた果実をいただくことで、自然への感謝の気持ちが生まれます。
甘味 黒豆羊羹 ―一年の締めくくり―
会席料理の最後を飾るのが、ふっくらとした黒豆を贅沢に使った、つややかな黒豆羊羹です。表面はしっとりと艶があり、まるで漆器のような美しい光沢。切り口からは、丸々とした黒豆の姿が顔を覗かせます。
黒豆は、古くから「まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らす」という語呂合わせから、正月料理に欠かせない食材とされてきました。一粒一粒が丁寧に煮含められた黒豆は、ふっくらと柔らかく、ほんのりとした甘みが上品です。
羊羹の滑らかな舌触りと、黒豆のホクホクとした食感が絶妙に調和し、口の中でゆっくりと溶けていきます。小豆の風味と黒豆の素朴な甘さが重なり合い、日本の伝統菓子の奥深さを感じさせてくれます。
この黒豆羊羹一切れに、一年の健康と幸福への願いが凝縮されています。最後の一口まで、心を込めて作られた料理を味わう。それが、福会席の真髄なのです。
結びに ―食を通じて幸せを願う心―
福会席の一皿一皿には、数百年、時には千年以上も受け継がれてきた日本人の知恵と願いが込められています。それは、単なる迷信ではなく、季節の移ろいを感じ、自然の恵みに感謝し、大切な人の幸せを願う心の表れです。
新しい年の始まりに、このような丁寧に作られた料理をいただくことは、一年を大切に生きるための心の準備とも言えるでしょう。一皿一皿を味わいながら、その料理が持つ意味に思いを馳せる。そんな豊かな時間こそが、真の贅沢なのかもしれません。
福会席は、料理人の技術と心意気、そして食材への敬意が結晶した、まさに「幸福の宴」。この献立を通じて、皆様の一年が、より華やかに、より幸福になることを心より願っております。
福会席御献立

先付 蒸し鮑黄金和え
前菜 和会席の前菜+唐墨
御椀 白味噌仕立て 焼雲子 梅人参 芽蕪 辛子
造里 旬魚三種盛り 芽物一式
焼物 黒毛和牛フィレステーキ 焼野菜
温物 金目鯛蕪蒸し 山葵 銀餡
強肴 とらふぐ唐揚げ ししとう 酢橘
止肴 赤海鼠酢
食事 蟹御飯 香物 止椀
水菓子 せとか 苺
甘味 黒豆羊羹

 

 

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