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2025.10.28
日本料理香川の会席料理で味わう秋のみのり──手作り和菓子 栗羊羹の贈り物




会席の終章を飾る栗羊羹──秋の余韻を包む黄金の一片
日本料理香川が贈る、秋の実りの物語


ひとしきりの宴が静かに終わりを迎える頃、会席料理の最後の器にそっと置かれる栗羊羹。炊きたての白飯、旬の肴、彩り豊かな八寸をすべて味わい尽くした後に訪れる、甘味の時間。この一片があるだけで、秋の会席はひとつの美しい物語となります。

日本料理香川では、会席料理の締めくくりとして、特製の栗羊羹をお出ししております。それは単なるデザートではなく、料理人からお客様への最後の贈り物であり、秋という季節への敬意を込めた一品です。この栗羊羹を召し上がっていただくことで、会席の記憶がより深く、より美しく心に刻まれることを願っております。

栗羊羹の歴史──祈りの甘味から日本の秋の象徴へ
栗羊羹の歴史を辿ると、そこには日本人の季節への想いと、職人の誇りが静かに息づいていることがわかります。

 

成田山新勝寺と精進料理の原点


栗羊羹の起源は、千葉県成田市の成田山新勝寺の参道にあります。かつて精進料理の一品として供された「栗羹」が、栗羊羹の原型とされています。肉や魚を使わず、自然の恵みだけで心身を整える精進の食卓において、栗の滋味が添えられたのです。

参詣に訪れる人々にとって、この栗を使った甘味は、祈りの後の安らぎであり、旅の疲れを癒す優しい味わいでした。甘味でありながら、祈りの延長にあるような存在──それが栗羊羹の始まりでした。この歴史を知ると、栗羊羹がどれだけありがたい食べ物であるかがわかります。

 

明治の革新──米屋本店と栗羊羹の誕生


1899年(明治32年)、成田の米屋本店の創業者・諸岡長蔵が、地元の芝栗を練り込んだ煉り羊羹を商品化いたしました。これが「栗羊羹」として初めて世に出た瞬間でした。参詣客の手土産として人気を博し、やがて成田名物として全国に知られるようになりました。

さらに1919年(大正8年)、米屋から独立した諸岡常吉が、蒸し羊羹に栗の甘露煮を加えた「栗蒸し羊羹」を考案いたしました。もっちりとした食感に栗の風味が重なり、この革新的な組み合わせは皇室御用達にもなった逸品として名を馳せました。

 

蒸しと煉り──二つの伝統が育む豊かさ


栗羊羹には、蒸しと煉りという二つの流れがあります。蒸し羊羹は小麦粉や葛粉を用い、もっちりとした食感が特徴です。日持ちは短いものの、出来立ての風味が格別で、その場でいただく贅沢を味わえます。

一方、煉り羊羹は寒天と餡を練り上げ、滑らかでしっかりとした口当たりが魅力です。保存性に優れ、贈答にも適しています。それぞれに異なる美しさがあり、どちらも栗の存在が主役となっています。

日本料理香川では、この伝統を受け継ぎながら、会席料理の締めくくりにふさわしい栗羊羹を、一つ一つ丁寧に仕立てております。長い歴史の中で培われた技と心を大切にしながら、現代のお客様にも喜んでいただける味わいを追求しています。

 

しっとりと潤う餡に寄り添う、和栗の気品


日本料理香川の栗羊羹は、しっとりとした餡のうるおいが特徴です。一口含めば、なめらかな舌触りの中に、ふっくらとした和栗の甘露煮がほどけてゆきます。甘さは控えめで上品、どこか懐かしく、それでいてどこか誇らしい味わいです。

羊羹の切り口に現れる黄金色は、まるで秋の夕暮れの光を映したかのような輝きを放っています。また秋の稲穂のように美しいです。そこに添えられた和栗の甘露煮は、渋みのある深い色合いを帯びています。この落ち着いた色合いこそが、本物の和栗である証です。派手さはありませんが、自然の恵みそのままの姿が、静かな品格を醸し出しています。

輸入栗の明るく均一な色とは異なり、和栗は一粒一粒が異なる表情を持っています。その渋い色合いは、日本の山で育まれた本物の味わいの証です。見た目の華やかさよりも、深い味わいと風味を大切にする日本料理の精神が、ここに表れています。

 

会席料理の終章にふさわしい、もてなしの心


日本料理において、甘味は単なるデザートではありません。それは、料理人からお客様への静かな敬意であり、感謝の気持ちを伝える最後の贈り物です。主菜の余韻を壊すことなく、むしろその記憶を深めるように、栗羊羹はそっと寄り添います。

会席料理は、前菜から始まり、椀物、お造り、焼物、炊き合わせと続く一連の流れの中で、お客様に季節の移ろいと料理人の技を感じていただくものです。その最後に現れる栗羊羹は、これまでの料理の記憶を優しく包み込み、完結させる役割を担っています。

秋の実りを讃えるように、山の気配を感じさせるように、この一片の栗羊羹は会席の締めくくりとして完璧な役割を果たします。お客様の顔がふっとほころぶその瞬間に、「ああ、秋だな」と思わせる静かな歓びがあります。それは、料理の技術を超えた、季節との対話であり、心の贈り物です。

日本料理香川では、この栗羊羹をお出しする瞬間を大切にしております。お客様が会席料理の余韻に浸りながら、秋という季節の豊かさをもう一度感じていただけるように、最高のタイミングでお持ちいたします。


一つ一つ、丁寧に仕立てる職人の心


日本料理香川の栗羊羹は、すべて手作業で丁寧に作成しております。餡の炊き加減、栗の甘露煮の火入れ、切り口の美しさ──そのすべてに、季節への敬意とお客様への想いを込めています。

しっとりとした餡のうるおいは、火加減と時間をかけた丁寧な仕事から生まれます。餡を炊く際の温度、混ぜる速度、火を止めるタイミング──そのすべてが、最終的な食感と味わいを左右します。料理人は、毎日の気温や湿度の変化にも気を配りながら、最高の状態に仕上げております。

和栗の甘露煮は、一粒一粒が最高の状態で羊羹に寄り添えるよう、細心の注意を払って仕上げられています。栗を煮る際の火加減、甘味の加減、煮上がりのタイミング──どれも長年の経験と技術が必要な作業です。この手間こそが、お客様に「また食べたい」と思っていただける味わいの秘訣です。

切り口の美しさにも、職人の心が表れています。羊羹を切る際の包丁の角度、力加減、そして切った後の仕上げ──これらすべてが、お客様の目に触れる最初の印象を決定します。黄金色に輝く断面に、和栗の甘露煮が美しく配置された姿は、まさに秋の芸術作品です。

 

秋の会席を完結させる、黄金色の美しさ


会席料理の流れの中で、栗羊羹は特別な位置を占めています。前菜から始まり、椀物、お造り、焼物、炊き合わせと続いた料理の記憶が、この一片の甘味によって優しく包まれ、完結するのです。

黄金色に輝く羊羹の艶やかさは、まるで秋の落葉を思わせます。口に含めば、ほくほくとした栗の存在がゆっくりとほどけ、餡の甘味と混ざり合い、深い満足感をもたらします。それは、秋という季節そのものを味わうような、豊かな体験です。

日本料理における甘味の役割は、西洋料理のデザートとは異なります。それは、食事の余韻を消すものではなく、むしろその記憶を深め、心に刻むためのものです。栗羊羹の優しい甘さは、これまでいただいた料理の一つ一つを思い起こさせ、秋の会席全体を一つの物語として完成させてくれます。

お客様がこの栗羊羹を召し上がる時間は、会席料理の中でも特に静かで、心落ち着く瞬間です。会話もゆっくりとなり、目の前の一片に集中していただけます。その時、お客様の心には、今日の料理の記憶だけでなく、これまで味わってきた秋の思い出、大切な人との時間、そして季節の移ろいへの感謝が静かに広がっていくのです。

 

栗羊羹が伝える、季節の恵みへの感謝


栗は、古来より日本人にとって特別な食材でした。縄文時代から食されてきた栗は、山の恵みの象徴であり、秋の訪れを告げる大切な存在でした。その栗を羊羹という形で仕立てることで、自然の恵みが洗練された美へと昇華されます。

日本料理香川では、この栗羊羹を通じて、お客様に季節の恵みへの感謝を感じていただきたいと考えております。一粒の栗が実るまでには、春の花、夏の日差し、秋の雨、そして栗の木を育てる人々の手間があります。その恵みをいただき、丁寧に調理し、お客様にお届けする──この一連の流れすべてが、ありがたいものだと感じております。

 

会席の終章に込められた想い


日本料理香川の栗羊羹は、会席料理の終章にふさわしい、秋の余韻を包む一片です。しっとりとしたうるおいある餡に、本物の和栗の甘露煮が寄り添う、この静かな美味しさを、ぜひお楽しみいただきたいと思います。

成田山新勝寺の精進料理から始まり、明治・大正の職人たちの革新を経て受け継がれてきた栗羊羹の歴史は、どれだけありがたいものかがわかります。その伝統を大切にしながら、現代のお客様にも喜んでいただける一品を、一つ一つ丁寧に作成しております。

会席料理の最後に、この栗羊羹を召し上がっていただく時、お客様の心に秋の豊かさと、料理人の想いが静かに伝わることを願っております。秋の実りを、最後のひと口に。栗羊羹は、日本料理香川からお客様への、静かな贈り物です。

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